
日本ホラー小説大賞受賞作『ぼっけえ、きょうてえ』や『岡山女』、『夜啼きの森』などで、岡山という地に執着してきた岩井志麻子。本作もまた、彼女が得意とする岡山を舞台にした短編小説集だ。表題作をはじめ「乞食柱」「きちがい日和」「おめこ電球」「金玉娘」など、淫靡(いんび)で挑発的なタイトルの8つの物語が収録されている。男娼に身をやつしながら幼い妹とともに暮らす千吉。客に尻をさし出しながら、千吉はかつて故郷の村で、雨乞いの日に自らを襲った悲劇に身もだえする。神木にくくりつけた千吉の体をなぶる村の男たち。千吉の脳裏に懐かしくもおぞましいあの唄が去来する…。(「魔羅節」)病の果てにトウビョウ様の使いとなった少女の枕元へとにじり寄る乞食の男。龍神への生贄に差し出された少年。海に消えた亡夫の代わりに、妻たちと交わる口寄せの婆。貧困と因習がはびこる明治初期の共同体で暮らす人々の生き死にを、岩井は肉感的な筆致でエロチックに描く。その行間からは、汗、白濁液、腐臭、そして血液のむせるような生臭いにおいが立ちのぼってくる。
登場するのは、人間の奥底にある暗い闇をさらけ出したような人物ばかりだ。しかし、彼らの心の内に見え隠れする深いかなしみが、読む者の心を深く打つ。「わしの名前を呼んでくれ」と叫ぶ、狂った男。タヌキの金玉が八畳敷きと聞いて「うちには入りきらんのう」と答える幼女。死体に添い寝する女。近代への移行とともに打ち棄てられていった者たちの怨嗟(えんさ)が、自分の中になだれ込んでくるような、奇妙な錯覚にとらわれる小説集。
それは百年ほど前の、岡山でのこと。腐臭たちこめる茅屋に、行き場のない者たちが吹き溜まり、夜昼なくまぐわい続ける、禍々しい世界。男と女はもちろん、人とけだものから、死者と生者まで、相手かまわぬ嬲り合いの果て、幻想が現実を侵食し、すべては地獄へなだれこむ―。血の巫女・岩井志麻子が、呪力を尽くして甦らせた、蕩けるほど淫靡で、痺れるほど恐ろしい、岡山土俗絵巻。
艦長です。割と考えもせず、古本屋で手にとって・・・
「あぁ、ぼっけえ、きょうてえを書いた人ね~」ってな按配で
買ってしまいましたが、読んでなんとも胸が悪くなる内容で・・
棄ててしまおうかとも思いましたが、読んでしまいました。
お薦めはできませんが、興味のある方は是非お読みください。
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